一般媒介契約約款


第1条 (目的)
この約款は、宅地又は建物の売買又は交換の一般媒介契約について、当事者が契約の締結に際して定めるべき事項及び当事者が契約の履行に関して互いに遵守すべき事項を明らかにすることを目的とします。

第2条 (当事者の表示と用語の定義)
1 この約款においては、媒介契約の当事者について、依頼者を「甲」、依頼を受ける宅地建物取引業者を「乙」と表示します。
2 この約款において、「一般媒介契約」とは、甲が依頼の目的である宅地又は建物(以下「目的物件」といいます)の売買又は交換の媒介又は代理を乙以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができるものとする媒介契約をいいます。

第3条 (目的物件の表示等)
目的物件を特定するために必要な表示及び目的物件を売買すべき価額又は交換すべき評価額(以下「媒介価額」といいます)は、一般媒介契約書の別表に記載します。

第4条 (重ねて依頼をする宅地建物取引業者の明示)
1 甲は、目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を乙以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼する時は、その宅地建物取引業者を乙に明示しなければなりません。
2 一般媒介契約の締結時において、すでに依頼をしている宅地建物取引業者の商号又は名称及び主たる事務所の所在地は、一般媒介契約書に記載するものとし、その後において更に他の宅地建物取引業者に依頼をしようとする時は、甲は、その旨を乙に通知するものとします。

第5条 (宅地建物取引業者の義務等)
乙は、契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて努力するとともに、次の業務を行います。
① 媒介価額の決定に際し、甲にその価額に関する意見を述べる時は、根拠を示して説明を行うこと
② 甲が乙に目的物件の購入又は取得を依頼した場合にあっては、甲に対して、目的物件の売買又は交換の契約が成立するまでの間に、取引士をして、宅地建物取引業法第35条に定める重要事項について、取引士が記名押印した書面を交付して説明させること
③ 目的物件の売買又は交換の契約が成立した時は、甲及び甲の相手方に対して、遅滞なく、宅地建物取引業法第37条に定める書面を作成し、取引士に当該書面に記名押印させた上で、これを交付すること
④ 甲に対して、登記、決済手続等の目的物件の引渡しに係る事務の補助を行うこと
⑤ その他一般媒介契約書に記載する業務を行うこと

第6条 (媒介価額の変更の助言等)
1 媒介価額が地価や物価の変動その他事情の変更によって不適当と認められるに至った時は、乙は、甲に対して、媒介価額の変更について根拠を示して助言します。
2 甲は、媒介価額を変更しようとする時は、乙にその旨を通知します。この場合において、価額の変更が引上げである時( 甲が乙に目的物件の購入又は取得を依頼した場合にあっては、引下げである時) は、乙の承諾を要します。
3 乙は、前項の承諾を拒否しようとする時は、その根拠を示さなければなりません。

第7条 (有効期間)
一般媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定めます。

第8条 (指定流通機構への登録)
乙は、この媒介契約において目的物件を指定流通機構に登録することとした場合にあっては、当該目的物件を一般媒介契約書に記載する指定流通機構に登録しなければなりません。

第9条 (報酬の請求)
1 乙の媒介によって目的物件の売買又は交換の契約が成立した時は、乙は、甲に対して、報酬を請求することができます。但し、売買又は交換の契約が停止条件付契約として成立した時は、乙は、その条件が成就した場合にのみ報酬を請求することができます。
2 前項の報酬の額は、以下のとおりに、定めます。
1)売買に係る代金の価額(ただし建物に係る消費税額を除外する)のうち200万円以下の部分について…5%+これに対する消費税額
2)200万円を超え400万円以下の部分について…4%+これに対する消費税額
3)400万円を超える部分について…3%+これに対する消費税額

第10条 (報酬の受領の時期)
1 乙は、宅地建物取引業法第37 条に定める書面を作成し、これを成立した契約の当事者に交付した後でなければ、前条第1 項の報酬(以下「約定報酬」といいます)を受領することができません。
2 目的物件の売買又は交換の契約が、代金又は交換差金についての融資の不成立を解除条件として締結された後、融資の不成立が確定した場合、又は融資が不成立の時は甲が契約を解除できるものとして締結された後、融資の不成立が確定し、これを理由として甲が契約を解除した場合は、乙は、甲に、受領した約定報酬の全額を遅滞なく返還しなければなりません。但し、これに対しては、利息は付さないこととします。

第11条 (特別依頼に係る費用)
甲が乙に特別に依頼した広告の料金又は遠隔地への出張旅費は甲の負担とし、甲は、乙の請求に基づいて、その実費を支払わなければなりません。

第12条 (直接取引)
一般媒介契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、甲が乙の紹介によって知った相手方と乙を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結した時は、乙は、甲に対して、契約の成立に寄与した割合に応じた相当額の報酬を請求することができます。

第13条 (費用償還の請求)
1 一般媒介契約の有効期間内に甲が乙に明示していない宅地建物取引業者に目的物件の売買又は交換の媒介又は代理を依頼し、これによって売買又は交換の契約を成立させた時は、乙は、甲に対して、一般媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。
2 前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。

第14条 (依頼者の通知義務)
1 甲は、一般媒介契約の有効期間内に、自ら発見した相手方と目的物件の売買若しくは交換の契約を締結した時、又は、乙以外の宅地建物取引業者の媒介若しくは代理によって目的物件の売買若しくは交換の契約を成立させた時は、乙に対して遅滞なくその旨を通知しなければなりません。
2 甲が前項の通知を怠った場合において、乙が売買又は交換の契約の成立後善意で甲のために一般媒介契約の事務の処理に要する費用を支出した時は、乙は、甲に対して、その費用の償還を請求することができます。

第15条 (更新)
1 一般媒介契約の有効期間は、甲及び乙の合意に基づき、更新することができます。
2 有効期間の更新をしようとする時は、有効期間の満了に際して甲から乙に対し文書でその旨を申し出るものとします。
3 前2項の規定による有効期間の更新に当たり、甲乙間で一般媒介契約の内容について別段の合意がなされなかった時は、従前の契約と同一内容の契約が成立したものとみなします。

第16条 (反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約します。
① 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと
② 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと
③ 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この媒介契約を締結するものでないこと
④ この媒介契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 甲又は乙の一方について、この媒介契約の有効期間内に、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、この媒介契約を解除することができます。
① 前項①又は②の確約に反する申告をしたことが判明した場合
② 前項③の確約に反し契約をしたことが判明した場合
③ 前項④の確約に反する行為をした場合
3 乙が前項の規定によりこの媒介契約を解除した時は、乙は、甲に対して、約定報酬額に相当する金額(既に約定報酬の一部を受領している場合は、その額を除いた額。なお、この媒介に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を除きます)を違約金として請求することができます。

第17条 (契約の解除)
1 甲又は乙が一般媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合には、その相手方は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がない時は、一般媒介契約を解除することができます。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、甲は、この契約を解除することができます。
① 乙が一般媒介契約に係る業務について信義を旨とし誠実に遂行する義務に違反した時
② 乙が一般媒介契約に係る重要な事項について故意若しくは重過失により事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をした時
③ 乙が宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした時

第18条 (特約)
1 この約款に定めがない事項については、甲及び乙が協議して別に定めることができます。
2 この約款の各条項の定めに反する特約で甲に不利なものは無効とします。